【表現の自由】第3回勉強会を実施しました。

 表現の自由チームは、前回・前々回と続きあいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」と憲法上・行政法上の問題について、各実行委員がそれぞれ自分なりの検討を行い発表するという勉強会を行いました。

 

 そんな中、あいちトリエンナーレ2019年芸術監督を務められた津田大介氏が「あいちトリエンナーレ2019から2022へバトンをつなぐ」というタイトルでオンライン講演会を行うとの情報を耳にしたので、表現の自由チームはこの講演会を第3回の勉強会とすることにしました。

 

 講演会では、あいちトリエンナーレの「情の時代 Y/Our Passion」の意味、あいちトリエンナーレで解消することを達成した出演作家の男女格差の問題、あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」の騒動で実際に津田さんがどう考え動いたか、今あいちトリエンナーレがどうなっているか、という貴重なお話が津田さんの口から分かりやすく語られました。

 

 特に、あいちトリエンナーレの今回の騒動においては、出演作家・主催者(愛知県)・一般市民・表現の不自由展・その後の実行委員などの間で、非常に複雑で重層化した利害・主張の対立が日々生まれ、かつ状況も日々変化(電凸や名古屋市長の抗議活動、保守政治家による批判、検証委員会による中間報告、文化庁の補助金不交付決定)していきました。そして、そんな中で、芸術監督とどう動くか、あいちトリエンナーレを空中分解させないためにどうするか、責任者としてどうすればいいのか、その時どう考えて判断を下しのかなど、非常にリアルで現実的な事実が津田さんの口から語られました。

 

 法律家は、当事者でない立場から、過去の事実を、証拠を元に認定し判断を行う職責なので忘れがちになりますが、やはりその時のその瞬間の情報・事情・空気を経験した者でしかわからない事情というのは確実に存在するのだと改めて実感しました。

 

 印象的だったのが、「表現の不自由展・その後の電凸がされるちょっと前に、京アニでガソリン放火事件があったので、ガソリン缶を持って会場に行くという脅迫は、非常にリアリティをもったものとして、頭に浮かび、職員はその対応でとても疲弊した」という津田さんのコメントでした。私はこれを聞いたときに、ハッと気づかされました。表現の不自由展・その後の中止決定については、泉佐野市民会館事件の「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要」という要件にあてはめて考えることになると思いますし、実際に今回の事案に当てはめてみると、明らかに差し迫った危険の発生が現実的に予見されたとはいえないのではないかと思っていました。しかし、実際にその時現場で対応に当たった職員の状況や津田さんの意見を聞くと、やはり中止決定についても一定の合理性はあったのではないかと考えるようになりました(ただ、意思決定プロセスやあり方やガバナンスを全面的に肯定することができるかどうかについては別ですが)。

 

 結局、今回の勉強会(津田さんの講演)から、当事者から話を聞いてみないとわからないことはたくさんあるという基本的な部分について再認識することになりました。また、当事者から実際に話を聞けるという点で、7月集会各チームの講演会についても意味のあるものなのだと思いました。

 

 7月集会は、今年はオンライン開催ということになりましたが、実際に社会問題・人権問題に取り組んでおられる当事者・関係者・法曹の方々から、その活動についてご講演いただける貴重な機会であり、特にこれから法曹となる修習生や受験生にとっては、非常に価値のあるものだと思います。

 

 この記事を読んでいただいた方は、興味のある7月集会のプログラム(講演会)にお気軽にご参加いただければと思います。きっと得られるものがたくさん見つかると思います。

 

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【講演会の詳細】

講演:「あいちトリエンナーレ2019から2022へバトンをつなぐ」

講師:津田大介

コーディネーター:吉田隆之 大阪市立大学大学院都市経営研究科准教授

主催:大阪市立大学都市経営研究科都市政策・地域経済コース

協力:国際人権NGO ヒューマンライツ・ナウ関西グループ

 

 なお、吉田隆之准教授は、今回の講演に関する本を「芸術祭の危機管理」(水曜社)というタイトル(仮)で出版されるそうです(2020年7月22日出版予定)。芸術祭に必要な危機管理と表現の自由を守るためのマネジメントについて学びたい方は是非チェックしてみてください。

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