【コロナと人権課題】コロナ禍の実態を〈概観〉しました!

 こんにちは!「コロナと人権課題」チームです。コロナチームは,新型コロナウイルスの感染拡大により,多くの人権問題が浮き彫りになっていることを踏まえ,新たに特設されました。

 コロナチームでは,メンバー全員がそれぞれ関心のあるテーマについて発表してきました。ここでは,その成果をご報告します。

 

1 コロナ禍で苦しんでいる人々
⑴ 非正規労働者
 コロナ禍で苦しんでいる人々として,非正規労働者が挙げられます。その中でも,特に,コロナ禍の影響を受けている業種として,以下の二つがあります。
 第一に,営業の自粛が求められる業種(たとえば飲食業)があります。この業種で働く非正規労働者は,雇止めされたり休業手当のないまま休業を余儀なくされたりしています。
 第二に,コロナ禍でも働くことが求められる業種(たとえば医療)もあります。この業種で働く非正規労働者(いわゆるエッセンシャルワーカー)は,感染リスクに怯えながら日々働かざるをえず,実際にコロナに感染してしまうこともあります。
⑵ 中小零細企業
 行政は,十分な補償をすることなく,企業に営業の自粛を要請しています。このような「補償なき自粛」は,体力に乏しい中小零細企業の経営を直撃しています。その結果,非正規労働者の雇止め・休業手当不支給を行っている企業が少なくありません。
 なお,解雇等を行わなければ休業手当100%分の雇用調整助成金の給付を受けられるのですが,手続が煩雑なために申請しない企業もあるようです。
⑶ 子ども

 子どもは,家庭にいる時間が増えた結果,虐待を受けるリスクが高まっていると言われています。また,今後オンライン教育が増えていくため,貧困のためにインターネット環境を整備することができない子どもは,教育から取り残されるおそれもあります。
⑷ 若者
 若者は,キャリア形成のために就活をしたり資格試験を受験したりしなければなりませんが,そのような場が失われています。司法試験受験生も,司法試験が延期となったことで甚大な影響を被っています。このように,多くの若者が,キャリア形成のスタート地点でハンディキャップを負っています。
⑸ 女性
 非正規労働者には女性が多いため,多くの女性が雇止めや休業手当不支給になっています。そして,夜職の女性労働者も仕事を失い,女性の貧困がより深刻化しています。また,休業や休校によりDVを受けるおそれが高まり,望まない妊娠が増えていると言われています。
⑹ 高齢者
 高齢者施設でいったんクラスターが発生すると,多数の犠牲者が出たり介護崩壊が発生したりするおそれがあります。また,施設入所者は家族と面会する機会を失い,体調を悪化させてしまう人も少なくありません。
⑺ 外国人
 外国人労働者は仕事を失うと,経済的に苦しいだけではなく,在留資格も失うおそれがあります。また,外国人労働者には生活保護の受給資格がないので,生活保護を受けることもできません。

 

2 問題解決を妨げているもの
⑴ 公的制度の不備
 まず,コロナ以前からある問題として,支援制度の不備が挙げられます。支援の額や対象が限定されているという内容の問題だけではなく,支援が必要な人に支援制度の存在が周知されていない,支援を受けるための手続が煩雑であるといった問題もあります。
⑵ 〈支えあい〉の断絶
 次に,コロナ特有の問題として,〈支えあい〉の断絶が挙げられます。リーマンショックの時には,行政の支援が不十分であっても,派遣村のような〈支えあい〉の場がありました。しかし,コロナ禍では「接触機会の削減」が求められており,そのような〈支えあい〉の場がありません。支援者に出会えず,一人で困窮している人々が大勢いると考えられます。

 

3 今後の課題
⑴ 災害法制の活用
 日本は災害多発国であることから,災害法制が発達しています。そこで,コロナ禍は「その他の異常な自然現象」(災害対策基本法2条1号)に該当するとして,災害法制を活用する提案がなされています。
 新型インフル特措法は内閣総理大臣をトップとするトップダウン型の仕組みを採用していますが,災害法制を活用すれば,地域の実情に応じたボトムアップ型の対応が可能となります。
⑵ プライバシー侵害の危険性

 感染者の行動データを利用することは,感染拡大防止に一定の効果があります。そのため政府は,接触確認アプリの導入を進めるなど,市民の行動データの取得を始めています。
 しかし,これはプライバシー侵害につながりかねません。感染拡大防止とプライバシー保護をどのように両立させていくかが問題となっています。
⑶ 自死を防ぐ
 緊急事態宣言発令期間中の月別自殺者数は,例年に比べると減少しています。しかし,コロナ禍が続けば今後増加に転じる可能性があります。自死を防ぐためには,法律専門家は,依頼者の主訴のみに捕らわれることなく,医療・福祉・心理などの他分野と十分に連携し,依頼者を支える必要があります。

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