【罪を犯した人の社会復帰支援】勉強会を開催しました!

 罪を犯した人の社会復帰支援支援チームのメンバーでは、講師の先生に紹介していただいた本を課題図書に指定し、各自で読み進めながら、定期的に、内容や感想・疑問等の共有を行う勉強会を開催しています。
    

 今回は、日本犯罪社会学会編・浜井浩一責任編集『持続可能な刑事政策とは―地域と共生する犯罪者処遇』を読了したので、ご紹介します。

    

 同書は、日本犯罪社会学会の機関紙『犯罪社会学研究』に収録された複数の論文をまとめたものです。世界で最も寛容な刑事政策を実現しているノルウェーの研究者の論文を筆頭に、教育社会学、経済学、犯罪社会学・刑事政策、犯罪学それぞれの分野の研究者が、それぞれの立場から「持続可能な刑事政策」について論じています。最後に、ホームレス支援に実際に携わっているNPOの理事長が、自らが実際に出会った累犯知的障がい者のお話を中心に、その実態と支援のあり方を論じています。

  

 構成は以下の通りです。

第1章 ノルウェーの研究者による

  『他者とのであい(他者を知る)』

第2章 教育社会学の研究者による

  『社会の変化と日本の少年矯正―教育社会学の立場から』

第3章 経済学者による

  『経済学の視点から見た刑事政策』

第4章 更生保護の実務家による

  『人口減少・高齢化社会における更生保護―実務家からの視点』

第5章 犯罪学者による

  『少子・高齢化時代の持続可能な刑事政策―応報司法から問題解決司法へ』

第6章 ホームレス支援の実践者による

  『第三の困窮と犯罪―ホームレス支援の現場から下関放火事件を考える』

  

 難しい内容ではありましたが、罪を犯した人と社会はどう向き合っていくべきかという点について多くの議論に触れることができ、大変勉強になりました。

  

犯罪者を「異質な他者」として排除する傾向が未だ根付いている日本社会において、社会は、犯罪や犯罪者とどう向き合うべきなのか、人々が助け合い、信頼し合い、犯罪者がやり直すことができる寛容な社会作るためには何が必要なのか…。

執筆者のバックグラウンドは全く違ったものであるにもかかわらず、どの論文においても、総じて、罪を犯した人に対する理解が必要であって、異質であると排除せずに、他者だからと切り捨てずに関係をつくっていくことが必要である、ということが論じられている印象を受けました。

  

その他にも、

・そもそも論として、少年院の矯正環境が整っているということではなく、そもそも非行を犯さないようにするにはどうしたらいいのか、その点を手当てできないか。確かに、少年院の中でいい大人に出会えたりするのだろうけど、少年院に入ってしまうとその後そのような目で見られてしまうのが日本であるし、一生ついて回ってしまう。最初からそのような大人との関係があれば、少年院等の矯正施設に入らずに済むのではないか。

・雇用主などの民間協力者には、その好意に頼ってしまっているところがあるが、手を差し伸べる側の人がすくなくなってしまっている。持続的にやるのであれば、そのような個人の個性に頼らないように制度化していくべきではないか。

・法律家は、事実を聞き、それをどのように評価しているかという作業が本職であるときに、他者理解という視点が入り込みにくいのところがあるのかもしれない。法律家にとっては、法的評価の前提となる事実が必要であるところ、法的評価が加えられる対象となる事実として、支援や更生の視線があわないのではないか。もっとも、少年事件の審判だと、要保護性をみるもので、そこでは普段の刑事司法でみるものと違う視線が求められているように感じる。そこでは、調査官が特別に専門的な視線で見ていたように思う。刑事司法においても、どのような事実を評価するかで変わってくるかも。教育刑論的な発想が必要、というのはそこにも通じるかもしれない。

・理論と実践でいうと、理論について書かれている印象を受けた。

など、それぞれ印象に残った部分や感想を共有しました。

   

 そのうえで、

・社会復帰支援の観点から、そもそも犯罪者にならないためにはどうしたらいいか、というところも考えていければいいのではないか。

・今回の本で得た理論の部分を踏まえ、実際にどんなことをしているか、その中での苦労など、実践的な部分を聞いていきたい。

など、今後に向けた思いも共有できました。

  

 今後も、定期的に勉強会を行っていきます!

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